PRESS RELEASE
2026年9月13日 AI弟子 開発チーム
書く人の横にAI、書き終われば窓口へ届く
映像も読み取りも手元のAIで処理する「AI記入サポート」を試作
申請書を書く手元をAIが見守り、書き漏れを声で案内。書き終わったら読み取って確認し、そのまま窓口の画面へ
AI弟子 開発チームは、役所の窓口で住民が紙の申請書を書くときに、カメラで手元を見守って声で案内し、書き終わった用紙を読み取って職員の画面に届けるシステム「AI記入サポート」を試作しました。
映像の理解と音声の生成は、クラウドではなく手元のGPUで動くローカルAIで行います。用紙の映像や読み取った内容を外部のAIサービスに送らない構成にすることで、個人情報の扱いが厳しい窓口でもAIを使えるようにすることを目指しています(声の質問の聞き取りだけは、現状ブラウザの音声認識を使用)。
10年後、窓口の「書き方の案内」と「転記」は
AIが横でやってくれるのが当たり前になる。
背景:窓口の案内と転記に、人の手がかかっている
役所の窓口では、「この欄は何を書けばいいですか」という案内や、書き漏れによる書き直し、紙の内容をシステムへ入力し直す作業に、多くの人手がかかっています。これから働き手が減っていく中で、同じ体制を続けるのは難しくなります。
一方で、窓口で扱う情報は氏名・住所・生年月日などの個人情報です。インターネット上のAIサービスに送ることは避けたい情報のため、便利なAIがあっても使いにくいという課題がありました。
AI記入サポートでできること
STEP 1書く手元を見守り、声で案内カメラが用紙を見て、「フリガナの欄はカタカナで記入してください」のように、書き漏れや書き方をその場で声で伝えます。
STEP 2分からないことは聞ける「生年月日は和暦で書くの?」と声で聞くと、用紙を見ながら答えます。
STEP 3書き終わったら読み取り、確認ボタン1つで用紙を撮影し、各欄の手書き文字を読み取ります。空欄は赤く示し、内容はその場で直せます。
STEP 4送信すると、窓口の画面に届く受付番号を発行し、職員の画面に内容と用紙の写真が届きます。職員は転記せずに確認から始められます。
実際の画面
▶ デモ動画(1分39秒・会場で実際のカメラを使って撮影) / コンセプト映像(AI生成) / ブラウザで操作できるデモ
本日撮影。デモ用に作った架空の「みらい市」の申請書に手書き風の文字を書き込んだ画像をカメラの代わりに入力し、実際のAI(DiffusionGemma)で読み取った画面です。実物の用紙とカメラでの確認は会場で進めています。
住民側:読み取り結果を確認してから送信撮影から約2.5秒で各欄を読み取り、入力済みの状態で表示します。空欄の電話番号は赤く示し、「記入漏れ:電話番号」と声でも伝えます。
職員側:受付がすぐに届く送信すると受付番号「MR-0913-001」が発行され、職員の画面に内容と用紙の写真が届きます(3秒ごとに自動更新)。空欄は「(空欄)」と強調して表示します。
デモ用の申請書(架空の自治体)カメラで読み取りやすいよう、太い枠と大きな文字で作成した見本です。実在の自治体の様式ではありません。
誰の役に立つか
| 今 | AI記入サポートがあると |
| 住民 | 書き方が分からず窓口で待つ、書き漏れで書き直す | 書いているその場で案内が入り、書き直しが減る |
| 窓口の職員 | 記入の案内と、紙からシステムへの転記に時間がかかる | 案内をAIに任せ、読み取った内容の確認から始められる |
| 自治体 | 個人情報の扱いから、クラウドのAIを使いにくい | 映像の理解・読み取り・音声を手元のPCで処理する |
技術のポイント
- 見る・読み取る:Googleの拡散型言語モデル「DiffusionGemma(26B)」を画像に対応させ、自前のGPU(V100)1枚で動かしています。用紙の映像から書き漏れや書き方を判断し、書き終わった用紙の手書き文字を欄ごとに読み取ります。
- 話す:日本語音声合成「Irodori-TTS」を手元のGPUで動かし、案内を声で伝えます。
- 人が最後に確認する設計:AIの読み取りは間違えることがあるため、送信前に必ず住民が内容を確認・修正する画面をはさみます。
- データの置き場所:受付データと用紙の写真は、このPCの中だけに保存します。
開発状況(本日14:00時点)
- 動作確認記入中の案内:フリガナが空欄の用紙に「フリガナの欄はカタカナで記入してください」と案内(約4.5秒)
- 動作確認質問への回答:「生年月日は和暦で書くの?」に約1.8秒で回答
- 動作確認読み取り→確認→送信→窓口の画面に届くまでを通しで確認(読み取り約2.5〜4.8秒)
- 課題読み取りの誤り:空欄の電話番号を存在しない番号として読んだケース、通数の数字を読み落としたケースを確認。送信前の確認画面で人が直す前提
- 課題空欄が複数あっても、案内は1回に1つずつ
- 課題本日のデモでは、声の質問の聞き取りにブラウザの音声認識(外部サービス)を使用。窓口で使うには聞き取りのローカル化が必要
この先どう育てたいか
- 窓口での実地検証:自治体の窓口1か所で試し、書き直しの件数と、職員の案内・転記にかかる時間がどれだけ減るかを測る
- 様式と窓口ルールの登録:申請書ごとの記入ルール(和暦・西暦の指定など)を登録し、案内と回答を正確にする
- 多言語の案内:外国人の住民にも、母語で書き方を案内する
- 業務システムとの連携:確認済みの受付データを、職員がそのまま業務システムに取り込めるようにする
- 完全ローカル化:聞き取りも手元のAIにして、映像・音声・文字のすべてを庁内で完結させる